教育資金一括贈与の特例制度とは、祖父母から30歳未満のお子さんやお孫さんへ教育資金を1人につき1,500万円まで非課税で贈与できるという制度です。
2013年に創設された制度で、2023年3月までの期限が設けられているため、早めの検討が必要となりますが、具体的にどのような制度で、活用できるケースや留意点等を整理する機会は少ないかと思いますので、ここではポイントを簡潔にわかりやすく解説いたします。
どのような制度?
通常、他人に金銭を贈与した場合、1年間の非課税枠は110万円であり、また、贈与ではなく相続する場合は、相続税も発生します。
しかし、教育資金一括贈与の特例制度を利用すれば、1人につき1,500万円まで非課税でお子さんやお孫さんに贈与できるため、贈与税・相続税対策としても非常に有効な節税方法といえます。
対象者・要件
本制度においては①贈与を受ける人(受贈者)、②贈与する人(贈与者)、それぞれに要件が定められています。
- 贈与を受ける人(受贈者)の要件
・30歳未満の子ども、孫であること
受贈者の要件は、贈与を受ける時に30歳未満であることとされています。
・前年の所得が1,000万円を超えないこと
受贈者の前年所得が1,000万円を超えていると、特例の適用を受けることはできません。
- 贈与する人(贈与者)の要件
贈与者は直系尊属(祖父母や父母)であることが要件となっています。なお、受贈者と異なり、年齢制限はありません。
対象となる資金
本制度の対象となる「教育資金」として以下の2種類が定められています。
内容 | 主な例 |
---|---|
学校等に支払われるもの (1500万円まで非課税) | 入学金、授業料、入園料、保育料、施設設備費または入学(園)試験の検定料など学用品の購入費、修学旅行費や学校給食費など学校等における教育に伴って必要な費用など |
学校等以外へ支払われるもの (500万円まで非課税) | A:役務提供または指導を行う者(学習塾や水泳教室など)に直接支払われるもの ③ 教育(学習塾、そろばんなど)に関する役務の提供の対価や施設の使用料など ④ スポーツ(水泳、野球など)または文化芸術に関する活動(ピアノ、絵画など)その他教養の向上のための活動に係る指導への対価など ⑤ ③の役務の提供または④の指導で使用する物品の購入に要する金銭 B: A以外(物品の販売店など)に支払われるもの ⑥ ②に充てるための金銭であって、学生等の全部または大部分が支払うべきものと学校等が認めたもの ⑦ 通学定期券代、留学のための渡航費などの交通費 |
(国税庁HPより作成)
有効活用できるケースと留意点
お子さん・お孫さんの教育費用についてあらかじめまとまった金額を贈与することで、将来の学びを応援したい方々は検討の余地があります。
一方で、教育資金一括贈与の特例制度を利用して贈与を受けたものの、30歳の誕生日までに当該教育資金を使い切れなかった場合、残額に対して贈与税がかかってしまうため留意が必要です。
おわりに
弊社では、制度の趣旨や影響を踏まえた上で、それぞれの状況に応じて有効活用できるよう会計・財務・税務アドバイザリーサービスを提供しております。
また、制度をより適切に理解した上でビジネスが進められるよう研修・講座サービスも提供しているため、ご支援が必要でしたら、是非お気軽にお問い合わせください。