高等学校での金融教育導入から半年が経過し、様々なメディアで「金融教育」が取り上げられる機会も増えてきました。本連載では、「金融教育」で得た知識・経験を国際的なフィールドでも役立てられるように、国際的に見た日本のマネーリテラシーの特徴と立ち位置について解説いたします。
今後、経済のグローバル化が益々進み、海外との取引・交流が増加することが予想される中で、日本と海外、双方の「おかね」に関する価値観を理解しておくことは円滑なコミュニケーションを進める上で大変重要となるため、本連載において、日本のマネーリテラシーの特徴と立ち位置を見ていきます。
調査概要
今回の連載では、2012年にMasterCardが実施した調査を基に、アジア圏内における日本のマネーリテラシーの特徴・立ち位置をみていきます。
本調査は、アジア/太平洋の14の国・地域の18歳~64歳の消費者を対象に実施され、①基本的な金銭管理スキル、②財務計画能力、③投資に関する知識の3つの項目について調査を行い、各国・地域の消費者の基本的な金銭管理能力のレベルを査定したものです。
3つの項目をそれぞれ具体的にみていくと、以下の通りとなります。
- 基本的な金銭管理:予算管理、貯蓄、クレジットカード利用の責任など、基本的な金銭管理に関する回答者のスキルを査定
- 財務計画:金融関連の商品、サービス、概念に関する知識、および資金需要に備えた長期的な計画能力を査定
- 投資:投資に伴う様々なリスク、投資商品、必要なスキルに関する基本的理解を査定
調査結果
順位 | 国・地域 | 総合財務リテラシー指標 | 基本的な金銭管理 | 財務計画 | 投資 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 台湾 | 73 | 70 | 83 | 67 |
2 | ニュージーランド | 73 | 77 | 83 | 62 |
3 | 香港 | 71 | 72 | 72 | 68 |
4 | オーストラリア | 71 | 75 | 69 | 64 |
5 | シンガポール | 71 | 69 | 80 | 61 |
6 | マレーシア | 68 | 64 | 79 | 60 |
7 | インドネシア | 67 | 65 | 81 | 51 |
8 | ベトナム | 66 | 60 | 82 | 60 |
9 | 韓国 | 66 | 61 | 83 | 54 |
10 | フィリピン | 65 | 63 | 73 | 58 |
11 | タイ | 65 | 60 | 77 | 58 |
12 | 中国 | 64 | 55 | 76 | 65 |
13 | インド | 60 | 55 | 72 | 55 |
14 | 日本 | 60 | 61 | 69 | 43 |
平均値 | 67 | 65 | 76 | 59 |
調査結果は上記の通りで、日本のマネーリテラシーの順位は最下位となっています。
日本のマネーリテラシーが世界的にみて低いことはメディアでもよく取り上げられていますが、より詳細に分析し、活かしていくためには、項目別の分析が不可欠となるため、次回から項目ごとにみていきます。
おわりに
弊社では、「おかね」のプロである公認会計士が広範な実務経験は勿論、豊富な講師経験を基にマネーリテラシー養成に向けた金融教育サービスを提供しています。身近なトピックを用いた上で、ワークショップやオンライン等の様々なスタイルで提供させて頂くため、楽しく、わかりやすく学ぶことができます。
また、教職員様向けの研修・講座も提供しているため、支援が必要でしたら、是非お気軽にお問い合わせください。